Ruby の認定試験を受ける後輩から Array#inject が わかりにくいという話を聞いたので 簡単にまとめてみたいと思います。
Array#inject は配列の値を合計したりするのに使える便利なメソッドです。
$ irb irb(main):001:0> [1,2,3,4].inject(0) { | sum, i | sum + i } => 10
内部的には次のような処理になります。
[1,2,3,4].inject(0) { | sum, i | sum + i } `-------, loop: 1 0, 1 0 + 1 ~~|~~ ,----------' loop: 2 1, 2 1 + 2 ~~|~~ ,----------' loop: 3 3, 3 3 + 3 ~~|~~ ,----------' loop: 4 6, 4 6 + 4 ~~|~~ `----> 出力
2つめのブロック引数には配列の値がはいるのですが 1つめのブロック引数には、前回のループの最後の処理結果が入ります。
1巡目 (loop:1) の1つめのブロック引数は、 前回の処理結果がないので、初期値として inject メソッドの引数が設定されます。
ブロック内をわかりやすく書くと次のようになります。
irb(main):001:0> [1,2,3,4].inject(0) { | sum, i | sum += i } => 10
ここまでは簡単なのですが、この inject メソッドは 引数を省略することができます。 この場合の動きが要注意です。
上と同じ配列で試してみます。
irb(main):001:0> [1,2,3,4].inject { | sum, i | sum + i }
=> 10
結果は同じでした。
ここで、ブロック内の処理を変えてみます。
irb(main):001:0> [1,2,3,4].inject(0) { | sum, i | sum * i } => 0 irb(main):002:0> [1,2,3,4].inject { | sum, i | sum * i } => 24
まったく異なる結果になりました。
まず、引数がある場合の内部処理を見てみます。
[1,2,3,4].inject(0) { | sum, i | sum * i } `-------, loop: 1 0, 1 0 * 1 ~~|~~ ,----------' loop: 2 0, 2 0 * 2 ~~|~~ ,----------' loop: 3 0, 3 0 * 3 ~~|~~ ,----------' loop: 4 0, 4 0 * 4 ~~|~~ `----> 出力
次に、引数がない場合の内部処理を見てみます。
[1,2,3,4].inject { | sum, i | sum * i } `--------------------, loop: 1 1, 2 1 * 2 ~~|~~ ,----------' loop: 2 2, 3 2 * 3 ~~|~~ ,----------' loop: 3 6, 4 6 * 4 ~~|~~ `----> 出力
このように 初期値として 配列の 1つめの値が入っています。 また、1巡目 (loop:1) で 配列の 2つめの値が入っています。 ループの数も 1つ少なくなります。 引数を省略すると、 配列の 1つめのを値を初期値として利用するわけです。
つまり、次の 2つが等価となります。
irb(main):001:0> [1,2,3,4].inject(0) { | sum, i | sum * i } => 0 irb(main):002:0> [0,1,2,3,4].inject { | sum, i | sum * i } => 0